フリーランス
僕が見たクラウドワークスの闇〜Web受注案件が安い理由〜

最近、クラウドワークスの話題が上がっています。今回の話題に言及しつつ、僕自身が経験して、垣間見たクラウドワークスの闇を語っていきたいです。

*この記事がよく読まれていることもあり、2020年5月15日に下記にて追記(現状のソーシャルワーカーについての考察)しました。

Triggerきっかけ

何でも、月収20万を超える人は、111名だったとか(実質平均収入は344,230円)。公式資料によるものなので、間違いなさそうです。

公式資料かどうかを確認すべく、クラウドワークスさんの決算説明資料のWebページをチェック、当該Tweetで掲載されている画像の資料は、2016年9月期 第1四半期決算説明資料(PDF)に掲載されているもので、公式の見解ということになります。
クラウドワークスで月収20万超え、わずか111名。働き方革命の未来はどこにある?より引用

ただ、この記事で「働き方はやっぱり正社員がNo.1」と言及されている点に関してはかなり残念な印象です。その点に関しては、キングコングの西野さんも批判的な立場です。

クラウドワークスの登録数80万人の中には、そういう“実働時間の短い人達”が山ほどいるのに、「月収20万円以上稼いでいるのは僅か…」って、そんなの、あたりめーじゃん。挙げ句の果てには「働き方は、やっぱり正社員がNo.1」ときた。
ニシノ アキヒロFACEBOOKより引用

まあ、ただクラウドワークスを使ったことないんだろうなというのは、下記の部分で感じます。

本来、収入がゼロだったところを、月に5万円でも「自分の力で稼げる」という選択肢が生まれたわけじゃん。
5万円あれば、どれだけ助かることか。
ニシノ アキヒロFACEBOOKより引用

西野さんが言及してるように、本来収益が0円な人がクラウドワークスのおかげで月5万円程度の収益を得る機会ができたわけですよ。それって単純にスゴイことですよね。

西野さんもこの件で意見をおっしゃてますが、現実的に主婦の方が5万を稼ぐことは至難の技です。そこらへんが、中身を把握されていないということを感じざるをえません。

特に、記事を生産するといった仕事、バナー制作、デザインのみで月に5万はすごく難しいです。主婦の人が稼ぐなら、マジでパートの方が割がいいです。また、クラウドワークスという仲介を挟むことにより通常よりもキャッシュフローは悪くなります。(ライターという分野では、111名中4人だけです)7割はWeb制作・ITエンジニアなど、高度な技術を持った人しか稼げていないという現実はあります。

僕が見たクラウドワークスの闇〜Web受注案件が安い理由〜

Darkness

それでもやっぱり、通常の案件と比べてクラウドワークスのWeb制作・Web開発系の案件はめちゃくちゃ安いです。もちろん、クラウドワークスが仲介料として持って行っているというものもあるのですが、実は、クラウドワークス内にも仲介業者がいるのがそもそもの原因なのです。

どういうことかというと、20万のWeb制作案件があるとします。それをクラウドワークス内で評価の高い仲介業者が、仕事をもらいます。そして、その業者がまた、別のWeb制作者に10万で仕事を振るわけです。(実質、仲介業者は何もしない。もしくは、少し関わっている風を装う。仲介業者が一人とは限らない。仲介業者の数だけ、キャッシュフローは悪くなる。そもそも、Web制作者はいくらの仕事かわかならいので、もっと抜かれている可能性もある。)ただし、これは別に法律を違反しているわけではなく、民法上でも請負契約の請負人には、原則再委託が認められています(下請法による制限を受けることもある)。ということは、評価が高ければ高いほど、注文を受注しどんどん降っていくだけでお金を稼げることになります。

これは現実に僕が経験したことであり、クラウドワークスの闇です。実際に、一定数以上の評価を持たない制作者に仕事が回ってくることはほぼ皆無です。

Summaryまとめ

是非、間の仲介業者を一掃してほしいというのが希望ですが、巧妙にやっている業者もあり駆逐するのはなかなか難しいです。見た目には、わかりませんからね。しかし、何もしない仲介業者がいることで、Web制作案件は買い叩かれ続けます。僕のような駆け出しの個人はどんどん価格の安い仕事を受けざるをえなくなってきます。
現在、僕は、クラウドワークス・ランサーズで仕事を受けることはしていません。個人にとっては、かなり辛い(いろんな意味で)仕事が多いからです。
それでなくても、クラウドワークスの案件は、

フルタイムを前提とした案件が多い、手数料が高く、しかも受注者側が負担、クライアント(発注者)のITリテラシーが低い、クライアント(発注者)の人間のクズ率が高い、記事盗用、検索汚染、ステマの執筆案件が多い
クラウドワークスはエンジニアを幸せにはしなかったより引用

というのがすごく目立ちます。

発注者はクズで、クズな仕事が多いということを認識する。
他にもスパムの片棒を担ぐ依頼など、「倫理的にどうなの?」という作業を超低単価で発注する。それがクラウドソーシングです。(もちろんなかには健全・誠実な案件もあります!ただ残念なことに少ない。)
クラウドワークスで主婦が搾取されるのを目の当たりにした話より引用

のように、利用する際にはこういう意識も大事になってくるでしょう。ただ上記のように発注者がクズという案件に関しては、Web制作・Web開発系の案件は少ないと思います。(それでもお金を払われなかったこともありますが。)その代わりに仲介業者が多い感じはします。利益幅が大きいので成り立つのでしょう。クラウドワークス内で仲介業者に良いように使われていては、ブラック企業で働くこと以下の生活が待っているかもしれません。

今は、クラウドソーシングサービスは創世記で、どんどん成長するとともにこのような闇の部分も同時に広がっていくでしょう。ただ、それがずっと続くわけではなく、成長の鈍化とともに、規制・ルールも強くなってくるはずです。僕としては、今はそれを待つしかないかなと思っています。もっと発注者と受注者よりWIN-WINの関係になる仕組みづくりを徹底してほしいと思います。
個人事業としては、こういったクラウドソーシングサービスを良いように利用することだけを考えるのが今は得策なのではないでしょうか。

Addendum 追記 ~2020.05.15~

この記事を書いて4年の月日が経ちました。この当時、クラウドワークス内での仕事受注者(クラウドワーカー)は79.5万人でしたが、2019年末には332.7万人へと大幅な増加を見せています(実に、4倍にもなっているのです)。今後もますます、ソーシャルサービスへの需要は増えていくはずです。ただし、収入面に関していえば、4年前の当時とさほど変わらず、二極化の一途を辿っているのではないかと推測しています(残念ながらクラウドワークスからはクラウドワーカーの年収に関する公式な資料は出ておりません)。

その論拠として、2020年に公開されたランサーズの「フリーランス実態調査2020」をご覧ください。

こちらのスライド記事における15ページで、フリーランスとしての年収が記載されていて、そのうち平均収入は180万、年収400万以上を稼いでいる人に関しては、16%という数字になっています。この数字は、今回の記事でいう特定のクラウドソーシングサービで稼いだものではないことに注意(フリーランスとして稼いだ収入が記載されている)しないといけないですが、現状、金銭面に関しては、かなり厳しいものと感じざるを得ません。

先ほど紹介したクラウドワークスの資料でもわかるように、近年のフリーランスという働き方は注目されており、その光の部分がヒューチャーされすぎていると感じています。「フリーランス実態調査2020」でも記載されているように、「自由である」「裁量権が大きい」「仕事に誇りをもてる」などノンフリーランスに比べて満足度が高いものの、その裏返しとして、「収入がなかなか安定しない」「社会的信用を得る」「仕事が見つからない」などの闇の部分に関してはあまり語られていません。フリーランスとして働くのはカンタンなことではありますが、2020年でも、安定して稼いでいくというのはフリーランスでもごく少数の人しかいないということを認識しておく必要はあるのではないでしょうか。