『ZERO TO ONE 』の書評と独占・不競争を実現するにはどうすべきか論

『ZERO TO ONE 』の書評と独占・不競争を実現するにはどうすべきか論

少し前に出た本で、『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』という本を読みました。ピーターティールというペイパルを創業した人が書いている本です。たくさんのスタートアップに関わってきたということもあって、今までのスタートアップ論とは全く違った考え方をしていて、例示しつつすごく楽しく、とても参考にさせていただきました。(僕にとっては、もちろん大きすぎる話の数々だったんですが。)

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

Overview

もし本気で長期的な人類の発展を望むなら、ただの140文字や永遠の15分を超えた未来について考えなければならない。
ZERO to ONEはシリコンバレーを教科書に、難題を克服してこれまで存在し得なかった偉大な物事を築きあげるための本だ。

Memo

完全競争下では超過リターンは消失する。完全競争下では長期的に利益を出す企業は存在しない。

「少しずつ段階的に前進すること無駄なく柔軟であること」、「ライバルのものを改良すること」、「販売ではなくプロダクトに集中すること」といったスタートアップ論は間違っている。

小さな違いを追いかけるより大胆にかけた方がいい。出来の悪い計画でもないよりはいい。競争の激しい市場では収益が消失する。販売はプロダクトと同じぐらい大切だ。

事業が巨大でもダメな企業は存在する。例えば、アメリカの航空会社は数百万の乗客を運び、金額にすると毎年数千億ドルもの価値を創造しているが、Googleは500億ドルの売り上げで、航空会社の31%を利益として計上している。(航空会社の売り上げは1600億ドル)
それは、航空業界があげた利益率の100倍以上にもなる

おばあさん秘伝のレシピで作ったソースがいくら美味しいからといっても、競争の現実に目を向けず些細な差別化に力を注ぐだけでは生き残りは難しい。

競争しか考えられない企業と金以外のことも考えられる企業とではものすごい違いがある。独占は異変でも例外でもない全ての成功企業の条件なのだ。

今日の企業価値はその企業が将来生み出すキャッシュフローの総和で決まる。(ツイッターと、ニューヨークタイムズの企業価値の違い)

10倍優れたものを作るには、全く新しい何かを発明するのが一番だ。それまで全く何もなかったところで、価値あるものを作れば価値の増加は理論的には無限大となる。Amazonはとりわけ目に見える形でいきなり10倍の改善を果たした(一般の書店の10倍の本を用意した)。

ニッチな市場を創造し支配したら次は関連する少し大きな市場に徐々に拡大していくべきだ。Amazonはそのお手本と言える。

特定の市場で一番最後に大きく発展して、その後何年何十年と独占利益を享受する方が良い。そのためには、小さなニッチを支配しそこから、大胆な長期目標に向けて規模を拡大しなければならない。少なくともこの点に関して言えば、ビジネスはチェスに似ている。勝ちたければ何よりも先に終盤を学べ。

起業は確実にコントロールできるなによりも大きな試み。小さくても大切な世界の一部を支配することができる。それは、「偶然」という不公平な暴君を拒絶することから始まる。

べき乗則とは、一握りのスタートアップがその他全てを大幅に上回るリターンを叩き出す。

自分のスタートアップを全て自己資金でまかなえば100%株主になれるけれど、もし失敗すれば全て失う。だけど Googleの0.01%を所有するだけで信じられないほどの価値を保有できる

競争は資本主義の対極にある。競争によって収益が失われることがわかる。

ティールの法則(創業時がぐちゃぐちゃなスタートアップは後で直せないという法則)。一般論として、スタートアップに関わる全ての人間は、フルタイムでなければならない。ストックオプションを持たない人や、固定費をもらうことは基本的に利害が一致しないと考えた方がいい。少なくともこうした人たちは、短期的な利益に風向きで将来価値を上げる助けにならない場合が多い。だから、コンサルタントを雇っても無駄だし、パートタイムの社員もうまくいかない。遠隔地勤務も避けるべきだ。

ベンチャーキャピタルが投資するアーリーステージのスタートアップでは、CEOの年収は10億5万ドルを超えてはならない。

演技と同じで、売り込みだとわからないのが一流のセールス。営業にしろマーケティングにしろ宣伝広告にしろ、販売に関わるほとんどの人の肩書きが営業と無縁なのはそういう理由(アカウントエグゼクティブ、インベストメントバンカーなど)。企業人でさえ、営業を軽んじる最も根本的な理由は、世の中の全ての分野のあらゆるレベルが、本当は営業に動かされていることを社会が隠そうとしているからだ。

差別化されていないプロダクトでも、営業と販売が優れていれば独占を築くことはできる。

答えを出すべき7つの質問。エンジニアリング、タイミング、独占、人材、販売、永続性、隠れた真実。

『ZERO TO ONE 』の書評と独占・不競争を実現するにはどうすべきか論

Thinks

この本の著者は、ペイパルを創業に関わりその後もいろんな起業・スタートアップをキャピタリストとして支援している。そもそも主要な話が、アップルやグーグル、ペイパルなど僕にとってはかなり大きすぎる話ばかりで、実感がわかない部分がたくさんあった。それでもここ最近読んだ本の中では、確実にたくさん学ぶべきとこはありました。

「独占」「不競争」の重要性

日本では(どこの国でもそうかもしれないけど)、「独占」「不競争」は悪だと教えられる。実際には、日本には独占禁止法という法律があるし、公正取引委員会が取り締まっている。しかし、この著者は「独占」「不競争」こそが莫大な利益を生む柱で、グーグルをはじめとして、不競争を果たした企業だけが今や莫大な利益とともに、その業界を牛耳っていることを示している(企業は独占だとうまく隠している)。

実際に、この業界に当てはめると、Web制作業界をで独占・不競争を達成するのはかなり難しいように思う。日本だけではなく、グローバル性が高い仕事なだけではなく、これからの革新性も重要なファクターになる。というのも、今後AIで全て作れてしまう可能性は十分にあるし、Webサイトというシステムそのものが今後10年、20年残っているのか怪しい限りである。この点で、ピーターティールにいう「永続性」がある事業とは言えないのではないだろうか。

「販売」「営業」の重要性

こういうアメリカのIT企業の人で、「営業」の重要性を説いている人って少ない。むしろ、プロダクトの重要性(いいプロダクトな何もしなくても売れる論)を推している本が多い。一流のプロダクトで有名なアップルでも、広告にはかなり気を使ってるし(スーパーボウルのあれ)、プロダクトだけ良いものを作ってれば良いという考え方に僕自身も同調はできない。ピーターティールは、本書では、プロダクトの重要性だけをを説くエンジニアをオタクと称していたのは面白かった。

Web制作業界は競争が激しいのか

現時点の僕では、この自問に回答する術は持ち合わせていないが、この業界で「独占」を築くのが非常に難しいのではないか。Web制作やホームページ制作が世に広まりだして浅いが、Web制作業界で一番有名な会社と言われても、LINEやFacebook、TwitterのIT企業が浮かぶだけで、「Web制作」を専門にしている会社はの名前は挙がらないだろう。(個人でやってる方も多いからかもしれないが。)

その理由はやはり、「競争」が激しいからではないだろうか。もしそうであるなら、僕は今後どうすれば良いのかはこの本書を通じて考えさせていただいた。本書にあった「他の企業よりも10倍の価値のあること」をするには、少なくとも、Web・ホームページを作っているだけではダメなのだ。そして、「勝ちたければ何よりも先に終盤を学べ。」というようにこの業界の終盤は全く見通せていないわけである。

Summary

よく考えてみれば、大きな利益をだしている企業は少なくともその事業を「独占」し、「不競争」を達成している。これを機に、もっと僕自身が「独占」「不競争」に目を向けないといけないし、そういうものは意識しないと見つけれないかなーって思います。あとは、Web制作の「終盤」とはどういった形になるのか、今後も考え続けていきたい。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

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