
何かの記事で『誰のためのデザイン?』の改訂版が出ていることを知りました。改訂される前の本を2年ぐらい前に読んで感動したのを覚えています。改訂版では、章が1つ追加されているということ気になっていました。当初、この本読んだ時は、かなりの衝撃でした。Webに関わらず、「デザイン」というのは、わかりにくいものをいかにわかりやすくするための手段であり、それにはまず、ユーザー目線にならなといけないことを教えてくれたものでした。今では、よく「ユーザビリティ」という言葉が使われていますが、それの根本となるような本です。
Overview本の概要
最初の版から25年の間に、たくさんのことを学んだからである。テクノロジーも大きく変化した。最良の製品が常に成功するわけではない。どんな新しいテクノロジーが出現するかを予測できる人もいない。だが確実に予測できるのは、本書に述べるデザインの原則は変わらずに残るということである。
Memo備忘録
- デザインの基礎的な7つの原理(発見可能性、フィードバック、概念モデル、アフォーダンス、シグニファイア、対応づけ、制約)
- 可視性の原則(可視性の代わりに音を利用する方法もある)。
- 人は毎日2万個の道具を使う⇒日々の道具をわかりやすくデザインする必要がある。
- 概念モデル(実際に使っている例を示すことが大事)を提供する。
- 物事がうまくいかない時にデザインするのが大事。
- 自分の専門分野の視点を放棄して、他人のものの見方を理解すること。
- 制約はデザイナーにとって強力な武器(物理的、文化的、意味的、論理的な制約がある)。
- 人は技術を使うときに、困ったことがあると自分を責めがちである⇒ヒューマンエラーとして認識されるほとんどは、デザイン設計が悪いことに起因する。
- 機能が増えれば、使いにくさと複雑さが増す⇒それを解消するのが、デザイン(複雑なことはいいこと。悪いのは混乱)。
- 対応づけの原則⇒自然な関連付けが大事(文化に準ずることがる)。意味がわからん数字と関連していてはおぼえることが困難。
- フィードバック機能は重要である。
- アフォーダンスは、人と環境との間で起こりうるインタラクションである。アフォーダンスの中にあるものは知覚可能であるが、そうでないものもある。知覚されたアフォーダンスはシグニファイアとして、働くことが多い。しかしそれは、あいまいな場合もある。シグニファイアはものごとを示唆する。特にどんな行動が可能か、それがどう行われるべきかを示す。シグニファイアは、知覚されるものでなければならない。
- ラベルに頼らないといけない、利用マニュアルをつけるのはデザインとして失格。
- 必要とされる知識は外界に置いておくこと。必要なものを全て頭に入れておくことを要求してはならない。しかし、ユーザーが操作を学習して知識を頭の中に取り込んだときには、より効率的に操作ができる余地を残しておくこと。
- デザイナーは、ユーザーになることができない。その製品に慣れてしまうから。
- 目に見えるアフォーダンスとシグニファイア、発見可能性、フィードバックの即時性。全ての原則が当てはまらないときには、標準化する。
- デザインで、エラーが生じる前に防止するのと、エラーが起こってしまった時に、見つけ出して修正する(エラーに備えたデザインにする)。
- 人が過ちを犯すのではなく、いつでも悪いデザインのせいである。「ヒューマンエラー」と呼ぶものは、単にテクノロジーのニーズに人の行為が適していない場合であることが多い。
- デザインの仕様は、マーケティングとデザイン、購入と使用の両方の要因を含まなければならない。
- 人間中心のデザイン(観察⇒アイデアの創出⇒プロトタイピング⇒テスト⇒観察・・・)
- デザインは複雑な活動。エンジニアリングのデザイン、製造のデザイン、マーケティングのデザイン。様々なことを考慮しなければならない。
- デザインは、テクノロジーと人、ビジネスと政治、文化と政治をまとめる素晴らしい領域。克服すべき恐ろしいまで複雑な制約がある一方、人々の生活を助け、豊かにし、利益と愉しみをもたらすものを開発するチャンスでもある。
- 機能症(あらゆる製品が同じになってしまうのは、競合に対抗しようとするから。競合相手の持つ機能をすべてカバーしようとするから自滅してしまう)逆に、アマゾンは顧客のニーズも満たすことだけに集中している。この哲学を他の企業が実践することは難しい。強みを活かして、機能は十分条件で抑える。
- テクノロジーは進化し続けるが、人間のニーズは変わらない。人と文化は、ゆっくりと変化する。
- イノベーションには、漸進的と急進的がある。
- 最終的な製品が成功(購入し、利用し、愉しみ)したときに限り、デザインが成功したといえる。デザインはトータルなエクスペリエンスと見なさなければいけない。
Summaryまとめ
この内容が、25年前に書かれたものだとは思わないですよね。読み返して改めてデザインの奥深さが伝わってきます。「Webデザインでやっていくなら、DAノーマン本ぐらい読んでおけ!」と言われたのが知るきっかけでした。DAノーマンの最後の追加された章で未来についても語っています。
どんなにテクノロジーが進歩しても、それを使うが人間である限り、デザインの原則は永久的に不滅だと。そして、デザイナーに限らず、ユーザーも良いデザインを選択していくこと(価格や機能というのはあれど)を読者に求めています。デザインに少しでも興味ある方は、手にとっていただけるのをオススメします。
誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論
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