「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義を読んでの備忘録

「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義を読んでの備忘録

同業者界隈でよく進められる本の著者として、水野学さんが挙げられます。今回、初めて著書を読ませていただいたのですが、色々と感銘を受けました。日本のトップクラスのデザイナーと呼ばれる人の、思考法・企画・デザインと気付きを得ることができました。

水野学さんによってデザインされた商品や、企画書そのものが写真で載っており、文字にはできない感動をもらった本でした。(水野学さんが書いた本をもっと読みたい!)

Overview

いまの時代に、どうすれば「長く売れつづける」のか──。
あらゆるビジネスパーソンが抱えるこの課題をデザイン視点から解決する、
慶應義塾大学の名物講義「ブランディングデザイン」がついに書籍化。

「中川政七商店」「茅乃舎」「東京ミッドタウン」「相鉄」などでコンサルタントとしても活躍するクリエイティブディレクターの水野学が、ビジネスや経営における「デザインの正しい使い方」をわかりやすく解説した1冊です。

Memo

ブランドとは見え方のコントロール。(アップルは全てがかっこいい。)

デザインには、「機能デザイン」と「装飾デザイン」に2通りがあり、混同しないように分けて考えることが重要。

センスとは「いい」「わるい」と決められるものではなく、集積した知識をもとに最適化する能力。(おしゃれな人は、ファッションについて豊富な知識を持っている)

センスを向上させる3つの方法は、「王道・定番を知る」「流行を見つめる」「共通点を探る」こと。

差別化の弊害で市場の空洞化が起こっている。

問題を解決する能力ではなく、問題を発見する能力の方が必要とされている。(雑誌の企画での「ママチャリ」)

「世の中をあっと驚かせてはいけない。」継続して売れるには、ブランド力がいる。(奇をてらったものではその効用は一瞬。)

ここでいうブランドとは、商品・企業の「らしさ」のこと。

ブランド力のある企業の3つの条件は、「トップのクリエイティブ感覚がすぐれていること」、「経営者の右脳としてクリエイティブディレクターを招き、経営判断を行なっていること」、「経営直下にクリエイティブ特区があること」。

ユニクロも有名なクリエイティブディレクターを招いて、ブランドイメージを改革している。

ショッピングバッグのデザインを頼まれたが、頼まれてもいないロゴリニューアルや、新ブランドの店舗の出店を提案した。

ダイレクトメールを桐の箱に入れて届けた。(見え方のデザイン。)

企業の目的は、「目的」と「大義」からはじまる。それを言葉にして、コピーにする。

結果に責任を持たないコンサルタントが多い。

ブランディングを考える上で大切なのは、「似合う服を着せる」ということ。ロゴをリニューアルしたが、商品そのものを流行的な・洗練されたものに変更はしなかった。

企画・方針・アイデアは、軽くポンポン出す。その後のアウトプット・完成度に時間をかけた方がいい。

企画書を手紙と考えている。最後まで相手のことを思い浮かべながら書く。プレゼンは、「手紙を相手に手渡す場」。

ロゴマークと一緒に使い方の方向性も示す。「見え方」のコントロール。

データそのものではなく、それを活かして何をするか、何を提案するか。

デザインを依頼する側はデザインがわからず、依頼される側のデザイナーはビジネスのことがわかっていないという大きな溝が、「売れない」ものがつくられてしまう原因になっているのではないか。

デザインを扱う人たちにはある覚悟が求められている。それは、「正しさをつらぬく覚悟」。受発注の関係に甘んじて、クライアントの要望に首を縦に振るのは簡単。嫌われても、反対されても、「正しい」と思うことを口にできるか。

Summary

データ・知識のクオリティーの高さ

水野学さんは本書で述べられているように、センスとは「集積した知識をもとに最適化する能力」と定義づけされています。僕なんかがおこがましいですが、少なからず「デザイン」と呼ばれる仕事をさせていただいて、この定義はすごく納得させられました。僕は基本的に「Webデザイン」が多いのですが、まずは、クライアントさんの競合サイトを色々調べますし、参考にしてほしいURLも提出してもらいます。また、色々なサイトのデザインなども調べます。(日頃から良いなと思ったデザインはクリップしています。)

ただ、僕がすごいと感じたのは、クライアントさん自身のことを水野学さんはかなり入念に調べて、研究しているという点です。
具体的にいうと、クライアントさんの歴史そのもの(会社ならその会社の沿革そのもの、個人ならその人の出生から考え方まで)、またその地理的な部分まで、「どこまで調べてるんやろ」ってぐらい調べ尽くしている感がヤバいです。特に、宇多田ヒカルさんのアルバムのジャケットをデザインする際も、まずは、「宇多田ヒカル」について徹底的に調べている様子が書かれていました。

痺れる企画書・提案書

そして、調べ尽くしたデータをすごくうまく活用しています。
実際の、企画書が掲載されているので、ご覧になっていただきたいですが、やはりその見た目(UI)だけではなく、その場の体験(UX)を含めたデザインを考えられているようでした。「手紙を相手に手渡す場」を、相手が受け取る体験をデザインされていました。
いや、こんなんされたら、頼むしかないやろ感がすごかったです。。。
プレゼンの場、また、企画書の細部まで「デザイン思考」が及んでいない自分に反省させられました。

デザインは誰のもの?の答え

本書の最後に書かれている提言になるのですが、「正しい」と思うことを口にしろ!って部分。
デザインの最終決定をクライアントさんに任せても良いのかってのを悩んでたところがあったのですが(このブログでも書き散らかしていますが。)、明確な答えを出してもらったような気がします。

僕自身の戒めとして、自分が先導して「デザイン」の最終決定権を握るのであれば、そして、「正しい」と思うことを口にしていくためにも、もっともっと多角的に知識の集積をし続けないといけないという覚悟ができました。
もちろん、何かに特化していくという方向性もあり得るけど、僕としては、「Webデザイン」にこだわらず、
ビジネスを「デザイン」するためのデータの集積をする方向性に進んでいこうと決意させていただいた一冊でした。



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